研究内容

本研究室では,主としてコンピュータシミュレーション(Computer Aided Engineering: CAE)を活用し,工学設計問題における最適設計法に関する研究を行っています.

工学設計問題における最適設計法

Optimization in Engineering Design

多くの工学設計問題では,必ず要求(目的)が存在します.その目的を達成するための一つの方法として,最適設計法があります.本研究室では,様々な最適化アルゴリズムや計算機知能を用いた逐次近似最適化法の開発・研究を行っており,さらにそれらを活用して,塑性加工分野や射出成形におけるプロセスパラメータの最適設計法の提案を行っています.シミュレーションに留まることなく,実験可能な場合は実験を行い,手法の有効性を検証しています.

最適設計に関する取り組みの一部を書籍に紹介しています.

CAEを用いた工学設計問題においては,CAEを用いて事前に検討することが有効ですが,さらに開発スピードを上げるためには,計算(シミュレーション)回数を抑えつつ近似的な大域的最適解を求めることが大切です.逐次近似最適化(Sequential Approximate Optimization: SAO)とは,段階的に応答曲面の精度を高めつつ,最終的に少ない計算回数で精度の高い大域的最適解を求める方法の一つです.流行りの言葉を用いれば,「機械学習を活用した最適設計法」となります.本研究室では特に,Radial Basis Function (RBF)ネットワークを用いた逐次近似最適化法を用いて,様々な工学設計問題にアプローチし,問題解決を図っています.逐次近似最適化を中心に,最適化法の関係をまとめると図のようになります.

  • Meta-modeling
  • サンプル点(シミュレーションをする設計点)から関数空間を近似する手法であり,二次近似やKriging, RBFネットワーク,Least Square Support Vector Regression (LS-SVR)など,いろいろな方法があります.

  • Global Optimization
  • Kriging, RBFネットワーク,LS-SVRなどの方法を用いて応答曲面を用いると,多峰性関数になりやすいので,応答曲面の大域的最適解を求めるためには,大域的最適化法は必要となります.

  • Evolutionary Algorithms
  • 多峰性関数の大域的最適解を求める方法の一つとして,進化計算法は有効です.また,多目的最適化におけるパレートフロント同定にも役立ちます.

  • Multi-objective Optimization
  • 対象とする工学設計問題によっては,多目的最適設計問題になります.多目的最適設計では,パレート最適解集合(これを目的関数空間に写像したパレートフロント)を同定することと,競合する目的関数間のトレードオフ分析を行い,最終的にどうするかを決めることが大切になります.

  • Robust Design Optimization
  • 設計変数にばらつきがあるような場合,そのばらつきを考慮して最適化を行うことも重要になります.ロバスト最適化では,多くの場合,二目的最適設計(目的関数の最小化+設計変数のばらつきによる目的関数の変動の最小化)となり,多目的最適設計問題として考えることが可能です.