下記の分野を中心に研究を行っています.
何かご質問・ご要望があれば,できる範囲でお応えします.
近年はコンピュータシミュレーション技術の発達により,実験そのものを行う前に,シミュレーションを行い,
事前に物理現象をある程度把握することが当たり前のように行われています.
ただし,シミュレーションも詳細なモデルを構築するとなると,それなりに計算時間がかかり,
詳細モデルに対して最適化を行うことは現実的ではありません.
そこで,実験計画法などを用いて実験やシミュレーションを行い,そこから得られる応答値から関数空間を予測する
応答曲面法が有効な方法の一つです.
応答曲面モデルには様々な方法がありますが,特に非線形関数を良好に近似できるといわれているRBFネットワークを用いた
逐次近似最適化に関する研究を行っています.
逐次近似最適化とは,応答曲面の最適解や新たなサンプル点を逐次追加し,段階的に応答曲面の精度を高めつつ,
精度の高い応答曲面の最適解を得ようとする方法で,近年極めて活発に研究がなされています.
逐次近似最適化の最大の利点は,設計者が対象とする設計問題を段階的に理解できるという点でであり,
最も重要なことはどのようにサンプル点を追加し,応答曲面の精度を向上させるかという点です.
RBFネットワークは計算が簡単で,しかも汎用性のある方法ですので,よい方法です.
ただし,基底関数内のパラメータ(半径)を適切に設定しなければならず,この部分があまり研究されていません.
私たちは,基底関数内のパラメータ(半径)を適切に設定する式を提案しており,いくつかの数値実験の結果,
良好な結果を得ています.
現在,RBFネットワークを利用したサンプル点の効果的な配置方法について,研究を行っています.
生産技術分野の特徴は,「試行錯誤による条件決定」です.
この「試行錯誤」を効率的に行い,すばやく最適な条件を決定することが生産性向上のためには重要になります.ここで「効率的」とは,試行錯誤の回数を減らしたい,またこれまでの試行錯誤の結果を有効に使いたい,ということが含まれています.
逐次近似最適化はこのような要望に十分応えることができる技術です.私の研究室では,薄板成形技術開発をはじめ,鍛造やプラスチック射出成形などの生産技術分野に適用しており,シミュレーションの結果を実際の実験で検証しています.
多目的最適化と連携させることで,工学設計上,有効な設計解を導出できることを実験を通じて実証しています.
近年の設計問題の多様化を考えると,多目的最適化は重要な位置を占めています.
最近では,遺伝的アルゴリズム(GA)に代表される多点同時探索型手法を用いて,パレートフロントを見つける研究が盛んに行われていますが,
満足化トレードオフ法に代表される対話型手法を用いるほうが,計算コストやその後の意思決定という部分まで考えた場合,重要となります.
とにかく目的と思われるものを目的関数として取り上げ,多目的最適化問題として定式化すればよいと思われるかもしれませんが,
多目的最適化問題として定式化して,満足のゆく解を求めたいのであれば,目的関数間の競合・従属関係を把握し,
真に競合関係にある目的関数を抽出することが最も重要です.
そのためには,目的関数間のトレードオフ比を定量的に算出する必要があります.
そこで,PSOを用いた多点同時探索型手法によるパレートフロントの導出に関する研究や,
定量的トレードオフ比の計算方法とその応用について研究をしています.
最近はなんでもかんでも多目的として考えなさい,という風潮があるような気がしています.
とにかく多目的最適化問題として定式化して,パレート解やパレートフロントを求めることはさほど重要ではなく,
目的関数間の競合・従属関係をきちんと把握し,その上でパレート解を求めることができれば,多目的最適化は極めて有効な方法です.
そこで,目的関数間のトレードオフ比を定量的に算出し,目的関数間の競合・従属関係を瞬時に把握する方法について研究を行っています.
また対話型手法では,新しい希求水準を求める場合,従来は希求水準は経験的に決められていましたが,トレードオフ比を活用した方法を
研究しています.
PSOは本来,単一目的の大域的最適解を求める方法でしたが,多目的へ応用した研究を行っています.
進化的計算法の国際会議では,多目的PSOがホットな話題のようです.
多目的PSOでうまくパレートフロントを見つけるコツは,g-bestの選び方とその数です.
私たちが開発したMOPSOは,単一目的のPSOを拡張した形でアルゴリズムを構築しているため,汎用性のある方法ですが,
一方で単一目的のPSOの性質をそのまま引き継いでいるため, いくつかの問題点も明らかになっています.
もともは事業体の効率を測定する方法として開発されましたが,これを設計工学へ応用しました.
DEAの効率的フロンティアがパレートフロントと一致するという望ましい性質を持っていますが,
これはパレートフロントが凸の場合に限ります.
一般化DEAはこのような問題を克服した方法で,すばらしい方法であると思えます.
DEAはあまり工学的な応用がなされていないようですので,今後,注意を払う必要があります.
連続変数からなる多峰性関数の大域的最適解を求めるアルゴリズムを開発しています.
離散変数問題や混合整数計画問題も基本的には大域的最適化問題ですので,
離散変数を何らかの方法で連続変数に変換してやれば,問題ありません.
ただし,離散変数問題や混合整数計画問題を解く絶対的な方法はありませんので,
基本的には多くの計算(ファンクションコール)を要します.
下記に示す方法の中でも,GRTAは信頼性や性能(ファンクションコール)が他の方法に比べ,優れている方法です.
関数の勾配(感度)を活用し,局所的最適解を逐次求めてゆき,最終的に大域的最適解を求める方法です.
トンネル法は,基本的には探索過程におけるすべての局所的最適解を求める方法であり,また,パラメータの設定が極めて困難です.
一方,GRTAはパラメータは3つであり,アルゴリズムも簡素に設計されています.数理計画法のソフトがあれば,
アルゴリズム設計はさらに簡単となります.
さらに関数空間にトンネルを掘るため,計算効率も極めてよい方法です.
進化的計算法の一つであり,連続型多峰性関数の大域的最適解を求めることができます.
基本がベクトル演算であり,その性質も明らかになってきていますので,今後も注目される方法の一つだと思われます.
探索能力が非常に高いので,これが禍することもあり,局所的最適解にトラップされることもありますが,
アルゴリズムも簡単であり,よい方法です.
最近知りました.はじめはGAとPSOのあいのこだと思っていましたが,必ずもそうではなさそうです.
いろいろ数値実験をやってみると,PSOよりもロバストで強力な方法であることがわかってきています.
PSOと比較した場合,最適化手法としての考え方(説明)が難しい側面があり,一部の方には受け入れられないかもしれません.
ただし,ある程度割り切ってみれば,よい方法であることがわかるかと思います.
歴史的にもまだまだ浅い方法ですので,今後の研究動向には注意する必要がある方法です.