金沢大学 理工学域 機械工学類

 

坂本班

教員

坂本 二郎

茅原 崇コ

研究分野:バイオメカニクス 最適設計 計算力学、バイオメカニクス 整形外科 計算力学

キーワード:バイオメカニクス、計算力学、最適設計、コンピュータシミュレーション、整形外科

 

 

― 研究内容 ―

義肢装具の最適設計に関する研究

       

背景:義足を使用するにあたり,ソケットの適合性が最も重要と言われている.ソケットの適合性が良好でないと,靴擦れのような皮膚潰瘍の発生や,義足の懸垂及び力の伝達が出来なくなり歩行の妨げになってしまう可能性がある.ソケットは義肢装具士がオーダーメイドで作成するため,製作に時間と費用を要する.そのため,ソケットの適合性を定量的に判断し,低価格で早く作ることが求められている.

目的: ソケットの最適形状を決定するシステムの構築を最終目的として,ベーシスベクトル法によるソケット形状生成プログラムを作成し,その有効性を確認する.

2016年度 高橋弘樹(M2)/指導教員 坂本

 

複合加工機における高精度な熱変形解析手法の開発

      

背景:近年,高速回転型の工作機が発達し,機械内部の発熱や温度変化による熱変形は加工精度を低下させる最大の要因となっている.しかし,多数の部品と熱源を持つ複合加工機においては,稼働後の熱変形を予測するのが極めて難しい.

目的:本研究ではCAEで複合加工機の熱変形を求める際に問題となっている部品間の接触条件を精度よく与えるための実用的な手法を開発し,有効性について検討する.

2016年度 阿部俊(B4)/指導教員 坂本

 

脊椎動物における筋骨格系モデルの作成とその応用に関する研究

背景:機械構造の設計・開発においては生物から着想を得た研究が非常に少ない.機能的に優れるだけでなく,天然の造形としても我々の感性に心地よくはたきかける要素を持つ生物のデザインの機械構造の設計への応用が期待されている.そこで第一に,生物の筋骨格系から新たな設計アイデアを引き出すような生物形態データベースの構築が必要であるが,生物の骨が受ける力は筋骨格系の運動によって決まるため,それを正確に求めるのは容易ではなく,骨の構造がどのような荷重に対して適しているのか不明な点が多い.

目的:生物形態データベースの構築に必要とされる荷重条件導出のための筋骨格系解析を行い,筋骨格系としての力学的な最適性について検討する.

2016年度 宮下 大和(M1)/指導教員 坂本

 

進化的計算による薄板構造部材の座屈を考慮した

最適設計法の研究

背景:近年,安全で快適な住宅開発が求められる中,薄板鋼柱材を使用したスチールハウス工法が注目されている.しかし鋼柱材の最適化を行う上で求められる軽量化と十分な座屈強度を確保することは計算の複雑化などの理由から両立は難しいとされる.

目的:そこで本研究では,進化的計算法であるDifferential Evolition(DE)と,有限帯板法による座屈固有値解析を組み合わせた最適設計プログラムを作成し,コストを一定に保ちつつ,座屈強度最大化を目的とした最適化計算を行い,効果的な最適形状を探ることが目的となる.

2016年度 宮川 健吾(M1)/指導教員 坂本

 

バイオイノベーティブデザインにおける

生物の骨形状データベースの構築

     

Bio Innovative Design Technology               Database

背景: 機械構造の設計・開発においては生物から着想を得た研究が非常に少ない.機能的に優れるだけでなく,天然の造形としても我々の感性に心地よくはたきかける要素を持つ生物のデザインが機械構造の設計への応用を期待されつつもいまだ成功しないのは,そのスケールや負荷条件の違いにより直接的な模倣が困難であるためとされる.

目的: 生物の骨形状に着目し,有限要素解析によって骨の形状的特性を解明・集積する.さらにデータベースを構築する際の評価基準について検討する.

2015年度 伊藤皓治(M1)/指導教員 坂本

 

曲面折り構造の有限要素解析とその応用に関する研究

背景:近年,日本の伝統文化である折り紙の手法から「折り紙工学」が提唱され,太陽光パネルの折り畳みなどの産業に応用されている。折り紙工学では,平板に直線の折り線を入れるものが主であり,曲線の折り線を入れるものは稀である。本研究では,曲線の折り線を入れたものとして,「ロッキング機構」を持つプラスチック折り紙トレイが提案されている。

目的:上記の有限要素モデルの作成を行い,実際の動きを再現した有限要素解析を行うことで,モデルの妥当性評価や曲線の折り線の力学的特性を評価する。

2015年度 大河原 正穏(M1)/指導教員 坂本

 

義足ソケット最適化のためのモデリング方法の検討

   

Socket    Soft tissue   Born

FEM Model                      FEM Analysis

背景:義足と患者との適合性に最も重要なソケット部は義肢装具士のオーダーメイドであるため,義肢装具士の経験や技術に基づくところが大きく,再現性や定量的評価が難しくなっており,製作に時間と費用を要する.そのため,ソケットの適合性を定量的に判断し,低価格で早く作ることが求められている.

目的: ソケットの最適形状を決定するシステムの構築を最終目的として,ベーシスベクトル法によるソケット形状生成プログラムを作成し,その有効性を確認する.

2015年度 高橋弘樹(B4)/指導教員 坂本

 

自動散布植物果実の種子射出メカニズム検討のための

有限要素モデル開発

104441    組

  Cross-section of the Orixa Japonica ovary           Finite element model

背景:植物には風や水などの外的要因を利用して種子を散布するものとは別に,自身の組織に蓄えた応力を利用して種子を散布するものが存在し,自動散布植物と呼ばれる.自動散布植物の種子射出の力学的メカニズムは解明されていないことが多く,解明は工業分野への応用につながる可能性がある.本研究では自動散布植物の一種であるコクサギ(学名: Orixa Japonica)に着目した.

目的:実際に採取したコクサギを3Dレーザースキャナでスキャンし,有限要素モデルを作成する.作成したモデルを利用した有限要素解析で射出挙動を再現することにより,種子射出のメカニズムを力学的に解明する.

2015年度 寺尾 康太郎(B4)/指導教員 坂本

 

筋骨格系モデルを用いた体圧分散寝具の力学的評価

 

Lateral posture on floor

Lateral posture on mattress

背景:寝たきりの患者は寝姿勢を自分で変えることができないため褥瘡が発生するという問題を抱えている。そのため、褥瘡予防として体圧分散寝具が多く使われており、その力学的評価が求められている。仰臥位に関する研究は多く見られるが、側臥位に関してはあまり見られないことから、先行研究では側臥位における力学的評価が行われた。しかし、その際、寝具に沈み込んだ姿勢までは考慮されておらず、臨床的な評価としては不十分であった。

目的:筋骨格モデリングソフトウェアを用いて、側臥位における体圧分散寝具の力学的評価を、より臨床的な条件で行うこと目的とする。

2015年度 西岡千洋(M1)/指導教員 坂本

 

座屈を考慮したパネル構造物の構造最適化プログラムの作成と

その有効性の検討

                                 最適解座屈モード

Buckling plate         Optimum shape       FEM analysis

背景:パネル構造物(板,缶,箱etc…)は,近年のCAE の発達により経済性やデザイン性を追求した設計が可能となっているが,その反面,過度なコスト削減は構成要素である板要素の薄肉化を招き,座屈破壊を引き起こすリスクが高まる.座屈対策としてリブによる補剛が実際の現場で行われているが,効果的なリブ配置についての知見は少ない現状がある.

目的:そこで本研究では,進化的計算法であるDifferential Evolition(DE)と,有限要素法による座屈固有値解析を組み合わせた構造最適化計算プログラムを作成し,座屈強度最大化と重量最小化を目的とした最適化計算を行い,効果的なリブ配置形態を探ることが目的となる.

2015年度 山田 博信(M1)/指導教員 坂本

 

3D adaptive combined DE/FE algorithm for analyzing impact fracture of laminated glass

 

Fracture patterns of laminated glass beam ((a) - (e) Crack patterns of the middle section: (a) t = 14s, (b) t = 50s, (c) t = 76s, (d) t = 90s, (e) t = 141s, (f) Oblique view of the final crack pattern at about 200s.)

Background: Laminated glass has been wildly employed in automobile windshields, modern buildings, etc. due to its security and durability performance whose mechanical properties are more complicated than those of single glass due to brittleness of glass, hyper-elasticity of PVB interlayer and the coupled influence of both formers. Accordingly, considerable numerical and experimental researches were carried out to investigate its mechanical characteristics, especially the fracture behavior under the impact load.

Purpose: To capture the fracture pattern of laminated glass and to optimize the structure of laminated vehicle windshield and reappear the pedestrian-vehicle accidents and the accident identification with help of the captured fracture patterns in the future.

2015年度 徐 偉 (JSPS研究員) /指導教員 坂本

 

 

 

筋骨格系モデルによる仰・側臥位における

筋力と床反力分布の力学解析

仰臥位解析結果(5cm)R=100 Face-up position

側臥位解析結果(5cm) Lateral position

背景:睡眠はヒトの3大欲求の1つで毎日欠かせないものであり周期的に無意識状態が続く生理現象である。その寝姿勢は体を取り巻く寝具により決定され、体に合っていない寝具は寝不足や慢性的な首や腰の痛みにつながる。一方で寝たきり患者などの身体が不自由な人においては、床ずれや関節拘縮を引き起こす。そこで、寝具を評価するため、寝姿勢を筋骨格系における力学的影響から評価することが必要である。

目的:年齢と性別を考慮した寝姿勢筋骨格モデルの作成を行うことで、寝姿勢での筋活動と床反力を用いて寝姿勢を評価し、寝姿勢において性別、年齢と床反力分布の関係について検討する。

2011年度 田井遥(M2)/指導教員 坂本

 

キリン頸部における筋骨格系の力学解析

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背景:キリンの特徴は長い首である。その首には大きなモーメントや荷重が作用し過酷な条件にさらされている。またオスは戦いのときにお互いの首を激しくぶつけ合うネッキングと呼ばれる行動をとる。これは首の骨や筋肉が独自に進化しためだと考えられる。キリンの首は強さと柔軟性を併せ持つ構造であり、力学的視点から興味深い。

目的:キリンの水飲み姿勢を再現した筋骨格系モデルを作成し、有限要素解析を行うことで、キリン頸部を力学的に検討する。

2011年度 酒井彩乃(B4)/指導教員 坂本